gamers' hideout

menu

Banner: j.dotsky's rat-life

(SweepStation) DEPTH (デプス)

(SweepStation) DEPTH Cover Art or Title Screen
Platform PlayStation
Developer Opus
Publisher SCEI
Released Dec 06 1996
Genre Music Adventure

© 1996 Sony Computer Entertainment Inc.

有名無名、洋の東西問わず、手当たり次第にゲームをご紹介しております当コラム。また新旧関係なく、読者の皆さんからのお勧めソフト情報もお待ちしておりますので、思い当たる方はぜひお便りを。秋も深まりつつある今回はちょっぴり芸術づいてみますか。

最近どうも殺伐としすぎてましたな…

注 … 本頁テキストは当時の原稿ほぼままです。時流ねたなどは軽くお流しください。

ということでこの数回新作とか PC 関連のゲームばかり取り上げており、ジャンルについてもなんだか血生臭い系が続いてまして、コレはさすがにどうだろうとか悩んでおりましたところ、やはりここはこのコーナーの初心に帰る意味で、もうちょっと古めでいてなおかつもっと多くの人に見てほしいゲームを思い出したりしました。季節もすっかり涼しくなり、ありきたりな言葉でいうならば芸術の秋。そんな時期に薦める今回の 1 本は、PlayStation 用の音楽ソフトの "DEPTH" です。
このソフトが発売されたのは 1996 年の 12 月。SCE から発売され、日本テレビ系列のテレビドラマ (山崎まさよし主演) とのタイアップもあったことから、なんとなく覚えてるってかたもいらっしゃるのではないでしょうか。しかしこの時期、というか全く同じ発売日に SCE は "パラッパラッパー" も発売しています。内容的なものを無視して (筆者は両ソフトそれぞれ好きです) 言うならば、見た目的にも強烈だったことが功を奏したのか、98 年プレイステーションアワード入賞ほか、PS2 でのシリーズ続編や TV アニメーションにまで発展したパラッパに比べ、DEPTH に関してはちょっと地味な印象が残ります。

ではそんな DEPTH の内容について軽く説明を。ゲームを起動したタイトル画面には START と ABOUT の二項目しかなく、ABOUT の方はスタッフロール。そして START を選ぶと、プレイヤー操るイルカが海中にいるところから始まります。キーやボタン操作でイルカくんは海中を自在に泳ぎ、さらには勢いをつけて海面にジャンプもできたりと、それだけでも楽しいのですが、まだ他にやることはあるのだよイルカくん。スタート地点を含む海中 "サイレントスペース" から、その海底にあるモニュメントに触れることで "クルーズステージ" と "グルーブエディター" というふたつのモードに移行できるのです。
流れとしては、サイレントスペース同様にイルカを操れるクルーズステージを泳ぐことでサウンドパターンを集め、グルーブエディターで音の再編集や創造を楽しみ、そして再びクルーズステージに戻り自分の編集した音色をバックに泳ぎ… ということの繰り返しです。クルーズステージはゲーム開始時にはひとつしか選択できませんが、しばらくひとつのシーンを泳ぎ続ければ新たなシーンが登場し、最終的には 12 のシーンが楽しめるようになります。そしてそのシーンごとにグルーブや音色が用意されているのです。また、おもなグルーブの編集作業はエディター上でのものになりますが、クルーズ中にもあらかじめキーに割り当てられた音色を、リアルタイム入力でアドリブ演奏することもできるのです。イルカくんと音楽で癒しの相乗効果!

(SweepStation) DEPTH Screen

(SweepStation) DEPTH Screen

この空間には倒すべき敵もいなければ、クリアしてどうの… という目的もありません。この "ゲームばなれした" 設定に対しての世間の反応が前述の地味な印象に繋がってしまったのかもしれませんが、それはゲームに対しての固定概念を持たない層に対してのアピールだったと考えることもできます。PS のデビューからわずか二年後の 96 年当時、新規メーカーだった SCE の斬新な CM 戦略や商品展開は、それまでゲームに興味を持たなかった多くの層をひきつけました。見た目は新しかったパラッパも、内容的にはどちらかというと従来のアクションゲームに近かったのに対して、DEPTH はクルーズステージでの自由度とグルーブエディターでの編集作業を通して、PS という新ハードに潜む新しい世界をアピールしたのではないでしょうか。その後 DEPTH はテクノ/アンビエント系のクラブイベントにも使われるなどし、本職のミュージシャンたちにまでそのファン層を拡大したようです。

ああ俺のグルーヴ地獄まじでどこいったんだろう

こうしてテキストに書いちゃえば妙にカタそうなイメージになってしまいますが、実際やってみると何ひとつ難しいことはないかと思います。エディターと言っても五線譜をにらむ必要もなければ、ただ用意されたサンプリング音を組み替えて楽しむだけですし、クルーズステージでのまったり感もそれこそ筆舌に尽くし難いものです。最近筆者は行きつけのショップのワゴンに新品 480 円で放り込まれてるのを見て、思わず保存用に買っちゃいそうになりました。未プレイの人も見かけたらぜひ。
それとシリーズ作ってわけではないのですが、関連スタッフの作品 "グルーヴ地獄 V" (キューンソニー, 1998) や "BPM" (SCE, 2000) あたりも見逃せません。本当のこと言うと今回グルーヴ地獄のこと書きたかったんですが、どうも肝心のソフトどっかにやっちゃったみたいです… いずれにしてもただボタンを押すだけのいわゆる "音ゲー" にはない深い味わいがある作品群。たまにはゲームマシンでもってクリエイター気分に浸るのもいいのではないでしょうか。結構いい音鳴るんですよコレが。

< prev zombie
Return to Castle Wolfenstein (MP Test)

next zombie >
----

page top