広い戦場と各種の乗り物にはじまるフィーチャー、最大 64 人のマルチプレイなどでヒットを記録した戦争アクション Battlefield 1942 (以下 BF 1942) に続く "Battlefield" シリーズの第二弾。
同じ名前を冠するとはいえ、本作は前作 BF 1942 の拡張パック的なものではなく、独立したひとつのタイトルとして楽しめる。制作・販売は前作と同じ、DICE と EA のコンビによるもの。

今回の舞台は少し時代を進めたベトナム。WW II 時代の支配者であった旧日本軍の敗戦に伴う仏領インドシナからの撤退に始まった、北ベトナム軍 (通称 NVA … 南北ベトナムを併せての独立を図る) と、それに対する南ベトナム正規軍を中心とする連合軍が繰り広げた、1960-70 年代をピークとする、いわゆるベトナム戦争。
NVA には国内の南ベトナム民族解放戦線 (通称ベトコン) にソ連や中国をはじめとする共産国家が、対する南ベトナム軍にはその後ろ盾であるアメリカを中心とした民主国家のバックアップがそれぞれつき、インドシナで局地的に起こった紛争から、世界規模で語られる長い戦争へとその規模を拡大した。
戦場はベトナム本土を中心に、周辺国ラオスやカンボジアにまで及んだため、この戦いは別名 "第二次インドシナ紛争" とも呼ばれる。戦争が終結したのは 1975 年、NVA による南ベトナム首都サイゴン (ホーチミン) 市陥落と、その前に起きた米国の支援停止が決定打となり南ベトナムは崩壊を迎え、76 年に南北ベトナムは "ベトナム社会主義共和国" として独立した。

この戦いにおける米軍は、悪条件の重なる戦場での展開作戦や、メディア発達による国内からの強い反発といった苦渋を味わったが、ジェット戦闘機やヘリといった新兵器の大量導入では NVA に対しての大きなリードをとっていた。
BFV でもこれは再現されており "近代兵器で構成された連合軍 vs ブービートラップなどでのゲリラ的な戦術を得意とする NVA" という具合に両軍の差別化が行なわれている。各軍装備については以下の通り。

歩兵の武器は前作同様、ゲーム開始/参加時やゲーム中に選択できるクラスにより初期装備が異なってくる。
本作では四つのクラス (スカウト/アサルト/ヘビーアサルト/エンジニア) が用意され、前作のメディックに相当する物は無くなってしまったが、マップ限定で特定の米軍兵はヘルスキットの携行が可能。これまで通り、スキルゲージを消費しながら自分や味方の体力を回復できる。
また倒れた兵士の装備はその場にしばらく残り、敵味方問わず自由に拾えるという点にも変更はないため、たとえひいきのチームがどちらであっても、特徴的な両軍それぞれの武器を把握しておくことは大切だ。

そして乗り物。BFV における全体的なマップの規模は前作よりやや縮小傾向にあるが、やはり多くのマップは歩兵にとっては充分すぎるほど広い。そして草原や湿地、水路などの地形が細かく再現されたマップの上での戦闘は、攻守問わず多くの困難を伴うだろう。
数多い乗り物の中でも BFV を特徴付けるのはヘリの導入。兵員や地上兵器の運送、そして攻撃にと、用途や地形を問わない汎用性と高い機動力は、視界や足場の悪いマップでは特に重宝されるだろう。
米軍のジェット機であるファントムは、ナパーム弾を装備し、投下地点を中心とした炎の海 (数秒間のダメージ地帯。地形には火事などの影響は与えない) を広げることができる。
これら敏捷かつ強力な航空兵器に対しては、熱探知型ミサイル攻撃が有効だ。

もちろん、陸に水にと活躍する APC (兵員輸送車) や、河川や水路を自在に行く各種ボートなどは、派手な航空兵器より目立たぬ存在とは言え、いずれも戦局を左右するだけの要素と価値を備えている。
中には二人乗りのベスパや、シェリダン (米軍空挺部隊用に設計されたアルミ合金製軽戦車。強くない) といったレア兵器も紛れているが、こうした数多くの乗り物の操作習得や攻略、そして仲間との乗り合いにある楽しさは、やはり Battlefield シリーズのよい伝統だ。

更なる付加要素としては、乗り物操縦時に音楽を流すことができるようにもなった点がある。Edwin Starr の "WAR" や Deep Purple の "Hush" など、ライセンスされたベトナム戦争当時の 16 曲を、ラジオ感覚で聴くことができる。
そして近年の GTA シリーズのように、用意された曲だけでなく、ローカル HDD 内にある MP3 ファイルをプレイリストに追加することも可能だ。しかしこれらの音楽は当然周囲にも聞こえる (マルチプレイ時には、他人の HDD にある MP3 は、デフォルト音源に差し替えられて再生される) ことになる。行動の際にはくれぐれも慎重に :)

ゲームシステム自体にも特に変更はない。前作同様、各種損害を受けることで減少する各軍のチケットをかけて、マップ上に点在する拠点をめぐって二つの陣営が戦うものだ。
ただ今回は、マップ毎に異なる部隊が登場し、同じ軍でも部隊によってその装備は微妙に異なる。またクラス選択画面においては、服装と頭部をそれぞれ二種類のモデルから選択する事が可能になった。
そして各種インターフェイス。HUD (ヘッドアップディスプレイ。FPS における通常のゲーム画面) 上で、拠点や弾薬などの位置を距離つきでオーバーレイ表示できる "3D マップ" 機能の追加や、拠点ホールド時に変化する旗の状況を示すグラフの追加、HUD 右上に位置する現在位置マップを中心とした各種インジケータのデザイン変更など、前作の面影を残しながらも確実に機能向上している。

新調された描画エンジン導入による細かい地形の描写 (特に水面は必見) と、前作をはるかに増すスピード感を得た戦闘。
デフォルトで用意されたマップは水田地帯を舞台とした "ウォーディン作戦" や、大規模な市街戦が展開された "フエ奪還" など 14 種。
前作にあったキャンペーンモードはなくなったが、シングルモード、もしくはローカルサーバを利用すればそこで BFV の基礎を体験できる。その後はもちろん、多くの仲間たちの待つ戦場へ！

加えて 2004 年夏、公式の WW II Mod がリリースされ、BFV エンジンで BF 1942 時代の三つのマップ (ウェーク島 + フィリピン + 硫黄島) を楽しむことも可能になった。この Mod は公式サイトなどで無料配布されている。

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