タイトルどおりのシリーズ二作目。初代 "Saints Row" (セインツ・ロウ) は 2006 年 08 月 (北米版。日本国内版は翌 07 年 06 月) に Xbox 360 独占の三人称視点アクションゲームとしてリリースされ "GTA クローン" と言われながらもキャラクタカスタマイズ等の独自要素で、全世界で 200 万本を売り上げる程の好評を博した。
続く本作は X360/PS3/PC のマルチプラットフォームタイトルとして登場。いずれも 2008 年 10 月にリリース予定だったが、調整作業等を理由に PC 版のみ 2009 年 01 月に発売が延期となった。
DVD-ROM パッケージ版のほか、Steam を介したダウンロード版の販売とオンラインアクティベーションが行なわれているが、2009 年 01 月現在、日本国内からのダウンロード購入および北米パッケージ版のシリアルキーによる認証は不可となっている。
LAN およびインターネットを介したマルチプレイヤーモードと Co-op モードも搭載しているが、インターネット経由の場合は GameSpy アカウントが必要。
物理エンジン Havok 搭載。

本作の舞台と物語は前作を踏襲。主人公となるのは、架空都市 Stilwater (スティルウォーター … 米国ミシガン州デトロイトおよび同イリノイ州シカゴが主なモデルとされる) で隆盛を誇ったギャング組織 3rd Street Saints (サード・ストリート・セインツ) に所属していた人物。前作最終章にあたる前市長の豪華客船爆破事件で仲間の裏切りに遭い、五年もの時を昏睡状態のまま刑務所内の医療施設で過ごすことを余儀なくされ、ベッドの上で目覚めるシーンからゲームは始まる。
このゲームスタートと同時にキャラクタの外見 (性別に皮膚や目の色、体格等) と歩行や戦闘時のモーションなどを数値の増減や規定の項目からの選択によってカスタマイズすることになるが、これは整形手術という設定なので、ゲーム開始後も病院で手術料金を払えば何度でも再調整できる。
長い眠りからの目覚めと同時に、かつて兄弟が 3rd Street Saints にいたという青年 Carlos の手引きによって、彼とともに刑務所を脱獄することになった主人公。刑務所のある島から海路追っ手を振り払いつつたどり着いたのは、いち服飾産業であった Ultor 社の支配のもと、小ぎれいに生まれ変わりゆく Stilwater だった。
3rd Street Saints はすでに解散し、さらに新都市の利権を狙って三つの新興ギャング勢力が互いの縄張りを広げている。
その後法廷で窮地に立たされていたかつての仲間 Johnny Gat を解放した主人公は 3rd Street Saints の復権を目指し、さらなる仲間を集めて新興勢力と戦うことを決意する。

上記が本作の主軸となる部分。前作比 145% のサイズを持つ Stilwater の新マップにはビジネス街や大学キャンパス、博物館に空港、マリーナなど多くの特色に満ちた地域が広がり、移動手段も陸海空すべてに用意されている。
街の各所にある各店舗/施設では、服/食料/CD/武器/乗り物の購入や整備工場での車両カスタマイズが可能。さらに物件を購入して Crib (隠れ家) にすれば、金額に応じた内装のアップグレードもできる。
また各新興勢力のシナリオ (組織を狙う順序は自由) を進めて彼らが支配する縄張りを取り戻せば毎日の上納金を手にできるほか、その地域にある店舗を買収してさらなる収入へと結びつけることもできる。

このマップ上に本編シナリオの各ミッション (おもに抹殺や破壊) と、そして各地に点在する Activity や、特定条件下でキーを押して発動する Diversion と呼ばれる多くのサブミッションが用意されている。
Activity ではセレブリティの護衛やファイトクラブ、攻撃ヘリやバキュームカーでの出撃などを、そして Diversion ではタクシー/救急車等の特殊車両による職業ミッションから、ベースジャンプにドライビングスタント、ストリーキングなどをそれぞれ楽しめる。
これらミッションの遂行や、着替えや車の改造等で Respect と呼ばれるゲーム内ポイントを溜めれば、さらなるミッションや特殊アイテムの出現や、携帯電話で呼び出すことができる仲間が増える等の各種特典がアンロックされる。

Stilwater 全域支配を目指して他の勢力の壊滅に全力を注ぐもよし、本編の進行を Crib 確保等の最低限にとどめ、権力そっちのけで市街の徘徊やサブミッション制覇、各種カスタマイズ等の趣味にふけるのもまたよしと、ギャングだなんだに拘らずとも広く遊べるタイトル。

PC 版 SR2 の北米発売時にちょっとした議論を呼んだ、Steam での認証に関するリージョン設定と、X360 からの移植が原因であると思われる動作パフォーマンス (乗り物移動時のマップ読込に因るかくつき) の問題、別サイトに日記として書いているので、とりあえずそちらをご確認いただければ幸い。
2009 年 01 月 30 日、日本でも Zoo による国内版が発売。ネット上のフォーラム等での話によると、これに合わせて日本からも北米版のアクティベーションができるようになったという話。

初代の評判もなんとなくは耳にしながら、かといって現世代コンソールの持ち合わせはなく、ほかエディット機能がやたら楽しげな昨今の家庭用プロレスゲーム (なぜ PC ゲームにはこのジャンルが来ないのだろう) の情報なども眺めつつ "やっぱデスクトップ機ひとつでなんでも済まそうと思うのは甘いのか" と懊悩していた矢先に本作の PC 版リリースの話。
2008 年後半から Bully (フリーズ持ちの鬼移植) に GTA IV (認証とスペック要求とゲイツ地獄) と、コンソールからの移植タイトルに泣かされ続け、安らぎを求めてこの SR2 に期待を寄せてみれば、ここにもリージョンと動作パフォーマンスの大きな落とし穴が。
認証とハードウェアの要求だけは過剰なまでに行ないつつ、肝心のゲーム自体を適当な仕様で市場に出すぐらいなら、いっそマルチプラットフォームというやり方を撤廃してくれたほうが諦めもついて良いのにとつくづく思う。

それでもなんとか設定を下げたり歯を食いしばったりしつつ遊んでみれば、ゲームとしては充分楽しい。豊富なエディット + カスタマイズ機能を含めて好き勝手できる幅がとにかく広く、既存タイトルの名を出すならば、やはり GTA の San Andreas あたりのシステムを大きく拡張したイメージ。
ギャング間の縄張り争いなんかはまさに GTA: SA のそれだし、さらに本作の場合は主人公の行動範囲が本編の進行度に関わらず最初から全開なので、適当に小銭を稼ぎつつひたすら好きな事のみをやる、というスタイルも実現可能なのが嬉しい。
クイックに操作できる各種カスタマイズ画面や、クリア済ミッションのリプレイ機能、GPS に近道を覚えさせるシステム、随行 AI の分乗行動といった独自要素にも好感が持てる。
直近作 GTA IV においてはリアルな空間描写やシナリオへの注力が目立った、いわゆる本家である GTA シリーズに対しての、遊び心溢れるフリーロームアクションとしての姿勢のアピールは正解だろう。

細かいことを言うならば、せっかくの PC 版なのだから、音楽 (ラジオ) や画像 (スプレータグやタトゥー等) ファイルの使用もさせてくれてもよかった気がする。それから乗り物搭乗時の視点も、せめてコクピットからの物が欲しかった。
しかしやはりそれ以前の問題として、データの不適当な読込 + 展開方法がそのまま描画処理に致命的な遅延を与えていると思われる現システムの改修を続けてもらいたい。
デザインそのものではない部分でひとつのゲームが評価されてしまうことを、開発および販売元はどう思っているのだろうか。

PC 版リリース直後より多くあがっていた "見た目のわりに動作パフォーマンスが悪い" といった声を受けてか、その改善といくつかのバグフィクスを含んだパッチが本日より Steam 上で配布開始。
早速うちでも適用してみたが、残念ながらそれほど目立った効果は無し。ただフレームレート制限解除のおかげか、歩行時などには不意に 40-50 ほど (Fraps 読み) の fps も出たりもして、かえってもどかしい。さらなる改善を期待したいところ。
パッチ適用後のプレイ動画を Youtube にアップロード。アジトからバイクで空港へ行き、ヘリでビル街上空へ…といった内容。別段面白い動画でもないけれど、運転時にかくつく様子なんかはゲーム中のそれがきちんと録れていると思うので、気になる人はどうぞ。

生まれも育ちも Saints Row, Stilwater. ほか (YouTube)