前作 GTA 3 の世界的ヒットを受け登場した今作は、大まかなシステムはそのまま、時代設定を現代から少しだけさかのぼった 1980 年代へ、舞台も前作の Liberty City (リバティシティ) と同様に、初代 Grand Theft Auto (グランドセフトオート) に登場した臨海都市の Vice City (バイスシティ) へ移った。とはいってもやはりマップ自体はリニューアルされており、橋で連結された大小四つの島々をそれぞれリゾート、高級住宅、商業、港湾・空港地域などに設定したものが今回の Vice City だ。

今作の主人公 Tommy Vercetti (トミー・ベルセッティ) は、元は Liberty City で悪名を馳せていたヒットマン。15 年ぶりに出獄する彼の存在を疎むかつての雇い主 Sonny Forelli (ソニー・フォレッリ) 率いるマフィア組織は "新天地開拓" の建前をもって、彼を Vice City へと送り込んだ。しかし最初の仕事である麻薬取引は警察 SWAT チームの介入によって失敗し、取引を仕組んだ Sonny の用意した現金も紛失してしまう。これにより Tommy は、なんとしてでもこの Vice City で稼ぎを上げねばならなくなる。

以上はゲーム開始直後のムービーで観れる序章部分。その後 Tommy は弁護士の Ken Rosenberg (ケン・ローゼンバーグ)、退役軍人の Colonel Juan Garcia Cortez (コルテス大佐)、麻薬王 Ricardo Diaz (リカルド・ディアズ) といった現地の実力者と接触、仕事をこなしては Vice City 裏社会での地位を上げてゆく。

最初は制限されている主人公の行動範囲も、特定の人物に会ったり電話で依頼を受けて仕事をこなしシナリオを進めることでその規模が拡大…というシステムは前作と同じだが、今作ではさらに隠れ家や物件 (会社や各種店舗など) 購入も可能になり、それによってさらなるシナリオへの展開なども用意されている。まさに目に見える形で主人公の成長の様子がわかるのが楽しい。

ほか目立った変更点としては以下のものがある。

• チェインソー、日本刀などの武器の追加
• バイク、ヘリなどの操縦可能な乗り物の追加
• 車窓越しの銃撃、車両のタイヤを撃ってパンクさせることが可能に
• 数か所の店舗では強盗が可能に

さらには地形や 3D モデルの簡略化とキャラクタ通行量の調整による動作の最適化がなされ、いちおう前作を改良したシステムになっているが、特に地形の簡略化についてはマップ中の高低差が前作よりも狭くなった感が否めない。

しかしやはり Tommy の基本服装であるアロハシャツや、スタート地点のビーチ近辺の風景などの南国的イメージは、New York をモデルにした前作の舞台 Liberty City との対比的な意味でも新鮮だ。
"とにかく暴れてえんだ畜生" という黒い願望から "気ままに仮想都市での観光を楽しんでみたい" という純粋な好奇心まで、Vice City は広く僕らを迎えてくれるだろう。

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