当サイトで扱ったものとしては "Hunting Unlimited" "WWII: Iwo Jima" などに続く、低価格ソフトハウス ValuSoft からの一本。この作品の定価も約 $20。国内 (日本語マニュアル) 版もマイクロマウスより発売されていた。

Battlefield 1942 などに代表される昨今のブームを意識してか、ゲーム内容は WW II を題材とした FPS。
ヨーロッパ戦線末期、ひとりの連合軍兵士である主人公は SS (ナチス親衛隊) 幹部暗殺指令のもとに空路ベルリンへ向かうが、東ヨーロッパ上空で対空砲火を受け、独ソが火花を散らす真っ只中に単独降下せざるを得なくなる、という場面からゲームは始まる。

多くのドイツ兵が立ちふさがる降下地点から、ソ連軍との合流を経てベルリンへと向かうまでの道は 10 のミッションに分けられ、郊外の村や塹壕、都市部での銃撃戦が展開される。
登場武器はワルサーピストルやガーランドライフルから MP40 やトンプソン機関銃、MG42 重機関銃にバズーカなど、当時の物を再現した 14 種類。またミッション限定だが、戦車やジープに搭乗することも可能 (戦車は AI 操作、プレイヤーは機関銃手として搭乗) で、敵もティーガー戦車などを駆ってくる。
ベルリン陥落そしてナチスドイツ崩壊への最終攻勢に拍車をかけるべく、この厳しい条件下を戦い抜き、前進しなくてはならない。

良くも悪くも "Value" な一本。発売元を同じくする同ジャンルのタイトル Iwo Jima での心痛い経験もあり、個人的には警戒心全開で今回プレイに望んだが、あれほどの酷さはなかった。
だが、それでもって "優良" の文字をこのゲームに捧げる事はやはり厳しい。

まずは敵。棒立ちがデフォルトで、ある程度の距離に入ると機械的に発砲してくる。伏せた奴もいるにはいるが、伏せっぱなしで動くことはく、人形相手の感覚がどこまでも寂しい。つまりゲーム中は敵影をくまなく探しつつ、適当にレレレ撃ち (レレレのおじさんの如き反復平行移動 + 射撃) を繰り返すだけの作業が任務達成への手段となる。
こちら側ができるアクションもかなり限られていて、移動 (速度は二段階) とジャンプ + 射撃 + リロードのみ。ロケーションとしては土や草、そして瓦礫にコンクリートとそれなりのバリエーションがあるにも関わらず、まるでそれを活かせないのが辛い。せめてしゃがみと伏せは欲しかった。

エフェクト面では敵の射撃音に問題が。2 スピーカーのステレオ環境でプレイしたが、敵がどの方向のどの距離から撃ってきても、銃の種類でしかその音が変化しないため、前述の細かい索敵を怠れば、ただわけもわからず銃弾にさらされてしまうことになる。ちなみにサウンド関連のオプション項目には、音楽 + 効果音それぞれのボリューム設定しか用意されていない…
キャラクターやオブジェクトのモデリングもやや大雑把ではあるものの、炎や煙、そして環境マッピングが施された銃といったエフェクト関連でかろうじて寂しさを紛らわすことができている印象。

加えてゲーム内容の割にやや高めの動作環境 (それを上回るはずの当方のコンピュータでも、ミッション開始時のローディングは長く、オブジェクトの多い室内の場面ではまれに描画の遅れも見られた) といった謎の面もあるが、郊外から都市部への移動に見る情景の変化や、戦車やキュベルワーゲンへの搭乗ミッションなど、こちらを楽しませようとする制作意識はあったのだと思う。
あとすこしの予算と技術力さえあれば…と言ってしまえば、ValuSoft のブランドそのものを否定することにもなりかねないが、やはりあの Iwo Jima よりは、安かろう悪かろうで終わらせるには惜しい部分が多いゲームだと私は感じた。

2004----

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