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Studio P (スタジオ P)

Studio P Cover Art or Title Screen
Platform PlayStation
Developer argent
Publisher argent
Released Aug 23 1996
Genre Puzzle, Tools

© 1996 Agenda Co., Ltd.

ひと言では語り尽くせない統合エンタテインメントソフト

開発・発売元であるアージェントは、おもに PC 用実務ソフトウェアを手がけている札幌のメーカー "アジェンダ" 内のゲームソフト開発ブランドで、1991 年の設立以降 PCEngine など多くのプラットフォームでの開発実績を持つ。
PlayStation では 95 年にグラフィックツール + ミュージックシーケンサ + パズルゲームを組み合わせた "動画でパズルだ! プップクプー" をリリースしており、タイトルこそは異なるものの、本作はそれに続く第二弾という形になる。

Studio P Title Screen
Studio P タイトル画面。そのまんまインタラクティブなメインメニューでもある

で、このスタジオ P の内容は、

  • マウス対応、最大 3 万色対応、アニメ機能も使えるペイントツール
  • メロディトラック x 9 + リズムトラック x 1 を持つミュージックシーケンサ
    ※ 最大同時発音数は 20
  • 動画を利用した絵合わせパズル
  • ネジコン専用のぞうきん絞りゲーム
  • ツボ作成シミュレータ

上記の五つが主なもので、さらに簡易 3D モデリングツール (ペイントツールと組み合わせてテクスチャマッピングも可能) だとか、自作の曲を背景に自作の絵やアニメーションを観覧することもできるビューアだとか、とにかく家庭用ゲーム機上の統合ツールとしては、かなり細かく作られている。
あれこれできる… ということは、その分システムや操作も複雑化しそうな気もするが、その点に関してもまた、わかり易いアイコンやゲーム中のオンラインヘルプ機能など、極力操作自体が作業の妨げにならない様に作られている。他のペイントツールやシーケンサ経験者なら、基本機能はまずマニュアルレスでもいけるだろう。
また、CD-ROM 内にサンプルとして収録されている絵や音楽も「ここまでできるのか」と思わせるものから、柔軟な発想を呼び起こすコミカルなものまで幅広く、これらを視聴するだけでもなかなか楽しめる。

Studio P Screen
ペイント

Studio P Screen
トラック内和音や三連符も

そして気になるミニゲームたち。

まずぞうきん絞りに欠かせない "ネジコン" (neGcon) なるアナログコントローラ。すこし説明をさせて頂くと、ナムコ製のアナログコントローラで、1995 年 01 月 01 日発売。コントロールパッドの左右それぞれがその真ん中を軸に回転する様になっていて、このネジりをメインに、加えて三つのボタンがアナログ入力部になる、という物。たとえばリッジレーサー系統ならば、ネジり動作をステアリング操作に割り当てて微妙なコーナリングを楽しむこともできるが、感覚的にはやや苦しい部分もあり、結構使い手を選ぶ代物だったりする。
そこへきてネジり動作をストレート過ぎるほどに活かした、このスタジオ P のぞうきん絞り。言うまでもなく「ネジり = しぼり」動作になり、制限時間内にどれだけの水を絞れるか、というルールの元でひたすらネジコンをネジりまくる、ある意味キングオブネジコンゲーとも呼べる単純明快かつ熱いミニゲームが楽しめる。

次にツボ作成シミュレータ。いちおうマウス対応。こちらは何のルールがあるでもなく「三色の粘土を混ぜてろくろを回し、筆で彩色ののち窯で焼成」と、ただそれだけを行なうもの。
しかし、ここにも単純ながらの奥深さがあって、色や形にこだわりだせばそれこそ無限に遊べてしまえそうな気配がある。満足ゆくツボができればメモリーカードに保存、いつでも眺めることができ、焼き上がりが気に食わなければ、ボタンひとつでどこぞの陶芸家のごとく完成したツボを叩き割ったりもできる。私はここに初めて PS でワビサビの世界を見た。日本人ならぜひいちどは。

Studio P Screen
ツボ

Studio P Screen
絵合わせ

最後になってしまうが、いちおうメイン (?) のパズルもまた比較的高水準なでき具合で、ストーリーモードをクリアした暁には、ネジコンを使ってビヨンビヨンとピッチベンドをかけられるリアルタイム演奏用の笛 "ヘギモナ" のオマケが登場したり、自作の絵をパズルの柄にすることができたりと、細かい部分まで楽しめる様になっている。

創造性と娯楽性の統合の極みとも言えるこのソフト、PS 初期にしてこの高い完成度には、手放しで絶賛するしかない。

その後当ソフト開発陣は "俺の料理" (PS1, SCE, 1999) や "ガチャろく" (PS2, SCE, 2002) シリーズ等といった、アナログ入力を巧みに取り入れたユニークなソフトウェアたちを世に出すことになる。

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