ビキニに身を包んだ女性キャラクタたちの実写撮り込み格闘ゲームということでちょっとした話題となった "Bikini Karate Babes" (邦題: ビキニカラテ … 以下 BKB) の続編。
前作から引き続き出演する者、および新規に追加された者をあわせて総勢 12 人のキャラクタが登場する。
操作体系やゲーム内容を含むシステム面は前作とほぼ同様。ただし背景が 3DCG で描かれたりといったマイナーバージョンアップ的な面もある。

以下各モードの紹介

Arcade Mode

基本的な対 CPU 戦。デフォルトでは二ラウンド先取で勝ち越し。

Battle Mode

プレイヤー同士の対戦モード。

Team Fight Mode

いちどに 4 人まで (人数設定は任意) のキャラクタを登録し、団体戦を行なうモード。ただし試合中の交代等、ゲーム内容に関して特殊な機能の搭載はない。

Challenge Mode

Special Features (いわゆる特典) としてゲーム中に収録されている各キャラクタの映像や音声等をアンロックするためのモード。対象となるキャラクタを既定のキャラクタで倒さねばならない。

Spectacle Mode

CPU 同士の対戦を観戦するモード。ヘルスゲージおよびタイム等の表示は無く、おそらくえんえんと闘う様子。

Vegas Mode

トーナメント形式に設定された CPU 戦の観戦に bet (賭け) 要素を加えたもの。

Marathon Mode

ヘルスゲージを持ち越す形で対 CPU 戦を続ける、いわゆる "サバイバル" モード。

Options

ビデオおよびオーディオ、試合のラウンド数や制限時間等を設定できる。使用キーの変更はできない。

Special Features

アーケードモードコンプリート後の各キャラクタ用動画の再生や、上記 Challenge Mode でアンロックした各種メディアファイルの参照ができるほか、3DCG で描かれるステージ映像をただ眺めることなどもできる。

前作 BKB からおよそ 10 年に近い時を経てリリースされた本作 "Warriors of Elysia" (以下 WoE) だが、前作レビューにて強く願っていた "格闘ゲームとしての作りこみ" は、惜しくもなされていない。
操作性およびその感覚の悪さは、いまだに無印の "Street Fighter" (Capcom, 1987) や "Mortal Kombat" (Midway, 1992) のレベルにすら達していない。また BKB では、いちおうぱっと目を惹くような必殺技の存在があったのに対し、WoE はシリアス志向が中途半端に満ちて (登場女性陣の技斗の技術そのものは向上していると思うが) おり、そのおかげで華となるべきものをゲーム中に見出せない。
とりあえず目に付くのは画面解像度と色数。BKB はおそらく 640 x 480 ピクセルの 8 bit (256 色) カラー仕様だったと思うが、本作 WoE では 1024 x 768 ピクセルの 32 bit (フルカラー + 透過色) カラーと地味にアップグレードされている。おかげで粗いディザ (減色) まみれだった各種画像は見劣りしないものとなっているが、それでもなお特殊技発動時等のカットシーン用映像に走査線の形跡がくっきりと見えたり、またはクロマキー (映像合成のための特撮技術) 用のグリーンバックの縁がキャラクタ画像周りに確認できたり…と、やはりいまひとつの丁寧さに欠ける部分がある。
登場キャラクタは 19 -> 12 人と減ってしまっているが、インストール容量は BKB を上回っている。おそらく多色化や各種メディアファイルの容量増のためだろう。ちなみに私が購入した DVD 版にはインストーラが付属しておらず、手動でのインストールを行なわねばならなかった。
ステージ背景画像の 3DCG 化については、それによる特殊効果がゲーム中にある訳でもなく、正直その目的がよくわからない。見た目的にはある程度のクオリティが保たれていると感じるが、結局 WoE のベースは 2D 格闘であり、背景のみをぐりぐりと映されたところで、それはゲーム性の向上とはかけ離れた、ある意味無駄な技術の使われ方だと思う。

BKB レビュー時にも書いたとおり、本シリーズのプロジェクトとしての方向性には趣を感じるが、そのうえで出てきた "格闘ゲーム" としての商品価値は、目指すべき目標に到達できていないと思う。
今回、製品の入手にあたり、オフィシャルサイトを通じての個人輸入を行なったのだが、先日の Postal III の Mike J. 氏 @ Running with Scissors 同様、こちらもメール対応担当者が、いわゆる大ボス的位置にある Travis Riggs 氏じきじきのものであったのには驚かされた。購入に際し、商品納期の遅れなど細かい問題もあったが、Riggs 氏もまた友好的に接してくれ、彼らが現在進めている iPhone 向けのプロジェクトだとかの話をいろいろ聞けたのは嬉しかった。
発案者であり監督でもあり、また撮影や編集までをも直接手がける Riggs 氏の幅広い行動および創造力には (ゲームの出来は抜きにして) 深い敬意を表しておきたい。
あとは本当に格闘ゲームとして成立し得るための、もうひとつのなにか。Riggs 氏たちがそれに気づいてくれることを祈って、彼らの更なる制作活動を今後も見守りたく思う。

ちなみに日本発売版について。これを書いている現在、BKB 同様に株式会社ドライブ (旧マイクロマウス?) さんが同社サイトにて 2012 年 5 月の発売を告知されているが、Riggs 氏の話によると、版権事情がまだ整っていないとのこと。

20120520

なんだかんだと言いながら、結局遊び倒してこそのゲーマー魂。なぜならそこにビキニがあるから。
デフォルトでは Tien Wu -> Aphrodite までの 6 人までしか使用できないが、各キャラクタでのゲームコンプリートによって 11 人まで選択可能となる。最後のひとり、Venus を選択可能にするためには、任意のキャラクタで Marathon Mode をコンプリートすること。
woesettings.zip (162 bytes, includes SETTINGS.DAT)
ダウンロード > 展開後、WoE のインストールフォルダへ